自然言語には合成性にもとづく統語構造が存在し、さらに統語構造を直接変形する操作(統語変形)が存在する。先行研究において、合成性はコミュニケーションと学習可能性に関する圧力のトレードオフとして創発することが示されている。しかしながら、自然言語になぜ統語変形が存在するのかは明らかではない。本研究では、統語変形を必要とする統語現象として等位接続に注目した上で、統語変形もまたコミュニケーションと学習可能性に関する圧力のトレードオフとして創発するのかを検証する。
「統語変形」といった(言語を文脈自由以上にする)強力な統語操作がなぜ自然言語に存在するのか?という問いへの説明を目指すという目的意識は我ながら非常に面白いと思っていますし、今後もこの方向性で進もうと思っています。
おそらく委員特別賞をいただけたのも、この目的意識が「面白い」と認識していただけたからだと思っており、この点が評価されたのは素直に嬉しく思います。
一方で、手法に関してはよろしくないと考えています。特にここに関して学会の場でフィードバックをいただきたく言語処理学会に参加しました。
結果として、多くの方から有益なコメント・アドバイスを頂けたので、大満足です。
今後も言語処理学会に何かしらを出し続けようと強く思える会でした(来年以降の自分へ)。