日本およびアメリカの大学院の進学について聞かれることがあるのですが、まずは九大の下地先生による『大学院進学と指導教員』を読み、自分が置かれている環境と希望先の環境についてじっくり考えてみることを強くおすすめします。
私は修士一年の冬ごろにこの記事を読みましたが、そのときいた環境はここで挙げられているすべての項目に当てはまっていました。 そして、繰り返し読んでさらに半年ほど経ってからようやくこの記事を咀嚼でき、自分が良い環境を探す努力を一切していなかったことに気がつきました。 違和感は覚えつつも、学部で入ったから、という理由だけでそこに居続け、「おかしい」と文句は言いながら何もしない。 私は最終的には博士で日本・米国ともにより良い環境に移ることができましたが、似たような状況の人にはとにかく環境を変えようとしてみることを強くすすめます(学振は、採択時の受け入れ先から変更可能です。採択時の受け入れ先教員からの許可は必要ありません。両機関の事務間で手続きをしていただく必要はあります)。
ただ、もちろん、これはうまくいった側の生存バイアスがかかった感想であり、移動にはさまざまなコストがかかるし、認知の歪みもかかって「ここにいることにもメリットはある」みたいなことを日々考えてしまったりするものです。 私がいたところでの標語は「でもここにはお金がある!」でした。 だが、学会参加などの正当な目的にはお金を工面してくださる先生は、探そうとしていないだけで、本来周りにたくさんいます。 学会がトラベルグラントを提供していることもあります。 そもそも、学会参加するためには研究をしないといけないのですが、そこが弱い環境にいながら学会参加のお金のことを考えてもね、という感じです。 とらぬ狸の皮算用というやつです。 結局、「参加費渡航費を払ってあげるから著者に入れといてね」とか言われて従っちゃうのに、ウィンウィンな関係だと言い聞かせ続ける。 ほんとうに愚かでした。
1つ言えることは、所属先への不満を日々考えるのは本当に無駄で、非常に多くの認知リソースを食います。幸せではないです。そして、成長するための試練でもないです。 日常からそんな無駄な時間を消しましょう。 偉そうだと思われたらそこまでですが、私なりの後悔、反省、そして贖罪の気持ちを汲み取ってもらえたらと思います。

修士の間に考えていたことについては、『自然言語処理』に書かせてもらいました。 また、アメリカ大学院の出願情報理論文法の生成力組合せ範疇文法 (CCG) について、どれも書きかけですがブログ記事にあるのでよかったら読んでください。

国内学会

  1. 磯野真之介, 梶川康平. 2026/03. 大規模言語モデルの衝撃を生き残る統語理論を考える. 言語処理学会第32回年次大会, pp.439-443, 宇都宮. [pdf]
  2. 梶川康平*, 磯野真之介*, 杉本侑嗣*, 浅原正幸, 大関洋平. 2025/03. CCGによる日本語脳波データのモデリング. 言語処理学会第31回年次大会, pp.4023-4028, 長崎. 🏆委員特別賞.(*は同等の貢献を表す) [pdf]
  3. 梶川康平, 磯野真之介, 窪田悠介, 大関洋平. 2025/03. 認知負荷の最適化戦略としての自由語順と項省略. 言語処理学会第31回年次大会, pp.1510-1514, 長崎. 🏆若手奨励賞 [pdf] [poster]
  4. 赤間美香, 梶川康平, 大関洋平. 2025/03. 統語情報は脳情報デコーディングに寄与するのか?. 言語処理学会第31回年次大会, pp.3602-3606, 長崎. [pdf]
  5. 吉田遼, 磯野真之介, 梶川康平, 染谷大河, 杉本侑嗣, 大関洋平. 2025/03. アテンションが記憶想起の認知モデルたりうるならば、記憶の表現としては何が妥当か?. 言語処理学会第31回年次大会, pp.1357-1362, 長崎. [pdf]
  6. 中石海, 吉田遼, 梶川康平, 福島孝治, 大関洋平. 2025/03. 自然言語における冪則と統語構造の関係の再考. 言語処理学会第31回年次大会, pp.37-41, 長崎. [pdf]
  7. 磯野真之介, 梶川康平, 大関洋平. 2024/06. 日本語大規模読み時間コーパスにおける記憶の負荷のCCGによるモデリング. 第168回 日本言語学会大会, pp.63-69, 東京. 🏆大会発表賞. [pdf]
  8. 梶川康平, 窪田悠介, 大関洋平. 2024/03. 統語変形はコミュニケーションから創発するのか?. 言語処理学会第30回年次大会, pp.2233-2237, 神戸. 🏆委員特別賞. [pdf]
  9. 梶川康平, 吉田遼, 大関洋平. 2023/03. CCGによる日本語文処理のモデリング. 言語処理学会第29回年次大会, pp.2984-2989, 沖縄. [pdf] [slides]
  10. 梶川康平*, 磯野真之介*, 吉田遼*, 大関洋平. 2023/03. 極小主義に動機づけられた統語的教示に基づく言語モデル. 言語処理学会第29回年次大会, pp.952-957, 沖縄.(*は同等の貢献を表す) [pdf]

解説記事

  1. 梶川康平. 2025/03. 計算心理言語学の新地平開拓の試み:効率的なコミュニケーション仮説の検証. 自然言語処理, pp.372-378. [pdf]

招待講演

  1. 梶川康平. 2025/01/29. Is Structure Dependence Shaped for Efficient Communication? A Case Study on Coordination. NLPコロキウム, オンライン. [slides] [video]

その他発表

  1. 梶川康平. 2026/02/14. 情報理論は言語学に何を語るのか. 言語学フェス2026, オンライン. [poster]
  2. 梶川康平. 2025/02/01. 言語の起源はコミュニケーションか?:計算心理言語学の観点から. 言語学フェス2025, オンライン. [poster]
  3. 梶川康平, 窪田悠介, 大関洋平. 2024/01/20. 統語変換は文化進化から生じるのか?:等位接続構造での検討. 言語学フェス2024, オンライン.
  4. 梶川康平, 窪田悠介, 大関洋平. 2024/01/16. 統語変換はコミュニケーションから創発するのか?. 第256回NINJALサロン, 国立国語研究所.
  5. 梶川康平. 2023/03/29. CCGによる日本語文処理のモデリング. Encouraging Workshop on Formal Linguistics 8 (EWFL8), 東京大学駒場キャンパス. [slides]

その他